みにまるなひげ

引っ越しの多いミニマリスト漫画家「ひげ羽扇」のブログ。

【読書メモと感想】ビジネス書「地銀波乱」。あなたが利用している地銀は今後も生き残れるか?

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2019年発行の、日本経済新聞社編のビジネス書「地銀波乱」(日経プレミアシリーズ)を読みました。


以下は本書の導入部分から。

 

2018年秋、地方銀行の「優等生」とされてきたスルガ銀行の不正融資問題が表面化した。

(中略)融資の審査資料が改ざんされ、本来は貸すべきではない人たちに億円単位の融資を繰り返していた。

(中略)「スルガ銀行だけなのか」。スルガ銀行の暴走は日本の地域金融の構造的な問題を象徴しているのではないかと考えて取材を進めた。

(中略)近い将来に経営が持続できなくなる限界的な地銀が少なくない。まずは限界地銀の実態を描いていく。
(本書より)

  

「近い将来、銀行はなくなる」といわれ始めている近年。


実際に、2019年4月には「ふくおかフィナンシャルグループ」と「十八銀行」が経営統合し、さらに「関西アーバン銀行」と「近畿大阪銀行」が合併して「関西みらい銀行」になりました。


そして、今年2020年1月には、「徳島銀行」と「大正銀行」が合併して「徳島大正銀行」になっています。


参考:新銀行名は「十八親和銀行」、親和・十八銀合併で :日本経済新聞
参考:合併に関するお知らせ|関西みらい銀行
参考:徳島大正銀行:合併にともなう重要なお知らせ



学生のころから15年以上、地元・愛媛の地銀「伊予銀行(通称:いよぎん)」を利用しつづけている私としては、いよぎんが今後も生き残れるのかどうか、地銀の現状と未来の予測が知りたくて本書を読んでみました。


グッときた部分の読書メモと感想をまとめます。

5割の地銀が赤字に陥っている。

2018年3月期は5割の地銀が本業で赤字に陥っている。

新卒が集まらず、転職も急増している。

新卒を思うように集められない地銀が目立ち初めている。将来の経営を担う幹部候補となるべき中堅や若手の転職も急増している。

内定ゼロの金融機関も出てきた。

「この春、内定ゼロになった地域金融機関が出てきました」(2019年2月26日)

(中略)中部地区のある金融機関。内定者が辞退した結果、新卒を採用できなかった事例だ。

いまの地銀はかつての石炭産業。

会議では「いまの地銀はかつての石炭産業を見るようだ」と述べた委員もいた。時代の波についていけず、若者も地銀を見捨て始めている。

4月直前になっても新卒募集を続けている地銀。

「まだ新卒の学生を募集しているらしい」

この年末年始にかけて就活戦線で話題になったのが地銀の採用難だ。新しい年度が始まる19年4月を直前に控え、なお採用活動を続けている地銀は少なくない。

金融業界から流出する銀行員転職者たち。

リクルートキャリアによると地銀を含めた銀行員の転職者数は、2008年9月のリーマン危機直後の09年度と比べて17年度は4.55倍に増えた。全職種の平均(2.64倍)を大幅に上回り、転職者は右肩上がりで増え続けている。

問題はその中身だ。かつて転職者の5割は同じ金融業界の他社を転々とすることが多かったが、近年は3割にとどまる。

代わりにコンサルティングや建設・不動産業界などが受け皿として存在感を増す。それだけ銀行業界から人材が流出していることを意味する。


銀行で働いていた人が金融以外の業界に転職していると知ると、思ったよりも早く「銀行がなくなる未来」がやってきそうだな、と感じます。

2019年卒の学生を対象にしたアンケート「最も敬遠したい業界」。

文系の学生が「敬遠したい業界」トップ5。

1位 メガバンク、信託銀行
2位 外食
3位 地銀、信用金庫
4位 外資系金融
5位 生命保険、損害保険
5位 医療、福祉、その他

文系の私も納得のラインナップです。

理系の学生が「敬遠したい業界」トップ5。

1位 外食
2位 メガバンク、信託銀行
3位 外資系金融
4位 生損保
5位 地銀、信金
5位 建設、住宅、不動産

文系も理系も、敬遠したい業界がけっこう共通しています。 


地銀よりメガバンクのほうが嫌がられているのも印象的です。地銀よりは安定していそうなメガバンクのほうが人気だと思っていたのですが。

ベトナム人採用も視野に入れている。

アジア人材(ベトナム女性)採用を視野に入れたり、エリートは転職して去ってく。

「国内銀行の年間給与ランキング」。

2018年3月期の国内銀行91行を対象にした平均年間給与ランキングも記載されていました。(基本給と賞与・基準外賃金)

トップ10。

三井住友銀行 810万円
スルガ銀行 800万円
東京スター銀行 796万円
あおぞら銀行 791万円
新生銀行 775万円
三菱UFJ銀行 773万円
静岡銀行 754万円
みずほ銀行 738万円
千葉銀行 725万円
阿波銀行 713万円

 

ちなみに中央値は612万円です。

ワースト10。

沖縄海邦銀行 489万円
鳥取銀行 485万円
福島銀行 484万円
宮崎太陽銀行 477万円
大東銀行 475万円
但馬銀行 471万円
佐賀共栄銀行 466万円
豊和銀行 459万円
福邦銀行 443万円
島根銀行 441万円

 

メガバンクともなれば、平均年間給与1,000万円は超えるだろう、と思っていたので、意外と低めで驚きました。

人材紹介会社サイエストと提携する地銀が増えている。

人材紹介会社のサイエストと提携を結ぶ地銀が増えている。

(中略)意欲の高い中小企業を支えていくには、外部の優秀な人材の有効活用で人材難を補完するといった知恵が求められている。

 

サイエストと提携している地銀の中に、私が利用している地元・愛媛の地銀「伊予銀行」も入っています。


外部の人材紹介に頼らないといけないくらい、就活や転職で人材を確保するのが難しいのか、あえて外部の風を入れることで、銀行が生き残れる可能性を高めようとしてるのか…。

勝機をつかんだ信金もある。

2018年6月19日、京都市東山区。

築200年の京町家で営業する喫茶店「市川屋珈琲」を訪ねた。店主の市川陽介氏がいれる一杯を求め、若い女性や外国人観光客らがのれんをくぐる。市川氏は祖父の自宅だった京町家を改装し、念願の店を持った。

開業資金は、京都信用金庫の「京町家専用ローン」で借りた。「ぜひ買いたい」。京都信金には、市内に4万軒ある京町家を欲しがる客が訪れる。京町家の専用ローンは2011年から始め、平均2千万円程度を120件融資したヒット商品に育った。

普通の地方銀行からみれば、古い木造の京町家は、土地を除いて担保価値はない。一方、京都の街並みをつくる文化的な価値があり、飲食店や住宅として生かせば収益をうむ潜在力を持つ。

京都信金はこんな無形の価値をみて商機をつかんだ。「京町家を守りたい」。個人ローンセンター所長の水谷英一氏は2018年、外国人にも資金を貸した。京都の街づくりを引っ張っている。

 

「地銀波乱」というタイトルだけあって、本書を通して展望の暗い話が続くのですが、こういった希望のある話も少し書かれています。

【感想】自分が利用している銀行を見直すきっかけになる1冊です。

本書を含め、地銀について書かれた本や記事を読む限り、伊予銀行は地銀の中でも優秀上位20位内に入っているので、少しホッとしました。


とはいえ、「地銀の優等生」だったはずのスルガ銀行もいきなり崩れたので、こういうランキングをどこまで信じていいのか、安心しすぎるのは禁物だとも感じます。


故郷の銀行を応援したい気持ちもありつつ、県外に住んでいると地銀の支店が近くになくて不便なことも多いので、全国に支店のあるメガバンクか、店舗も紙の通帳もない身軽なネット銀行をメインにしようか、と考えたりしています。


自分が利用している銀行について見直すきっかけになる1冊でした。

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