菅原洋平さんの「脳もデスクも超スッキリ! スゴい片づけ」(すばる舎)を読みました。
2015年から断捨離を始めた私。いままでは整理整頓してもすぐにまた物が増えて散らかっていたのに、今回はリバウンドすることなく断捨離の習慣が身につき、少ない物で暮らす快適さにすっかり馴染んでいます。
そのため、断捨離や片づけの本を読むことがほとんどなくなってきていたのですが、今回久々に片づけ本を読んでかなり刺激を受けたので(グサリと刺さる部分があったので)、読書メモと感想をつづります。
- 直感で動く「同時系」脳は散らかしがち。
- 同時系の言動の特徴。
- 「逆ビンゴ」で「やらないこと」を決めると良い。
- 作業時間を見積もってみる。
- 他人を意識せず、自分のために片づけるとうまくいく。
- 7割で相手に預ける。
- 「最初にやること」を1つだけ決めて、それは守る。
- 同時系の課題「継続性」と「安定感」を身につけるための習慣「5S」。
- 時間を区切って意図的にぼんやりする。
- 売上に直結しない努力はやめてみる。
- まとめ:整理整頓に問題はないので継次系だと思っていたら、めちゃくちゃ同時系でした。
- 関連記事はこちら。
直感で動く「同時系」脳は散らかしがち。
作業療法士である著者は、医療現場や企業で片づけについての問題解決に取り組んできた経験から、
・「散らかりやすい」「片づけが苦手と感じる」同時系の脳タイプ
・「散らかりにくい」「片づけが得意と感じる」継次系の脳タイプ
の2パターンの人がいると語っています。
この本は同時系タイプの人向けに書かれています。
自分がどちらのタイプか判定できるチェックリストもついていて、正直、整理整頓が習慣になっている私としては、「私は継次系だろうから、あまり関係ないな」と思っていたのですが…。
同時系の言動の特徴。
1.「面白いかどうか」が基準になる
まさに私です。
ちなみに継次系の場合、「トラブルがないこと」が基準になるそうです。
2.「絶対そうです!」と言う
同時系の関連付け能力は、独自の共通点を発見することです。その発見は、直感的、抽象的にビジュアル化されます。そこで最も苦手とするのがエビデンス、根拠です。この苦手な根拠を明確にするように追及されると、答えに詰まります。なぜなら、そのアイデアは直感的に発生したものだからです。そのアイデアの有効性を説明するには、直感的に表現する以外にありません。そこで「絶対そう」「そうに決まっている」という言葉が使われるのです。
さらに、ビジュアル化は言語システムへの負担軽減の役割がある、とお話ししました。言語での詳細な説明のために費やすエネルギーを戦略的に省略したのに、詳細な説明を求められても対応できないのです。
ものすごく分かります。
ちなみに、そんな同時系なりの「根拠の作り方」は、「量」を積み重ねて根拠にすることだそうです。
3.すぐ落ち込む
継次系タイプの人が、同時系タイプが持ってきた企画に対して、詰めが甘い箇所を指摘してやり直すように言うと、企画自体を諦めてしまうことがあるとのこと。
同時系の部下は、「直感」を頼りにしています。漠然としたイメージを提案しているので、誰が見ても理解できる根拠などありません。そのうえ、彼の評価基準は「面白さ」です。不足した情報を指摘された彼は、「課長を納得させるには、もっと面白い企画を考えないといけないのか」とがっくり落ち込んでしまったのです。
4.「わかっていないのに、すぐにうなずく」
話している相手に対して反応しないなんて、そんなに失礼なことはない、と考えるのが同時系です。「聞いてますよ」というメッセージを伝えるようにうなずいています。または、「つまらないからさっさと結論を言って」という意味でうなずいていることもあります。
ぐうの音も出ないほどその通りです。
ちなみに継次系の人にとってのうなずきは、「理解した」というメッセージのため、情報不足である話の前半部分でうなずくことはないそうです。そうなのか…!
5.自分の努力を認めない
面白さが評価基準の同時系は、頼まれた仕事や持ちかけられた相談に対して、相手の期待よりさらに上の結果で返そうと考えています。
そのため、常にアイデアを練り、他人が思いつかないことを見つけようとしているのですが、その反面、出した結果をあまり覚えていません。というより、自分が出した結果に飽きてしまいます。
〜中略〜
なぜなら、頭には次のゴールが浮かんでいて、すでにそれに向かっているからです。
脳のエネルギーが消耗して、一時的に行動を起こせなくなると、「今まで何をやってきたんだろう。私には何も残っていない」と悩んでしまう傾向があるのです。
ものすごくあるあるです。自己評価を低く見積もってしまうという、心理面での癖なのかと思っていたのですが、脳の癖でもあったんですね。
「逆ビンゴ」で「やらないこと」を決めると良い。
ToDoリストを作るとき、一般的なのは箇条書きにすることですが、本書では3×3の9つのマスに書いてビンゴ形式にすることをおすすめしています。
ゲーム感覚にすることで、達成する快感を味わいやすくなる、というものです。
ここで新鮮だったのが、「やったこと」でビンゴを揃えるだけでなく、「やらないと決めたこと」でビンゴを揃えるという考え方です。
9ブロックの「やらないことビンゴ」をつくってもらいます。9つのタスクの中で「これはやらない」と1つずつ消していき、ビンゴができれば残ったタスクをこなします。
なぜビンゴにするかというと、「やらないことを決める」のにすごく抵抗があるからです。「ちょっとやる気になればできるんだけど」とリストから外すことに抵抗感があるので、「3つ消せたら達成」という目標に差し替えて3つ消してもらう。すると残るは6つと、やるべきことはかなり限られるので、それさえやれば達成です。
やらないことを決めるのは、脳の選択肢を減らし、選択するときの葛藤に使われるエネルギー消費を避ける省エネ作戦です。脳は、選択肢を限定するほどエネルギーを温存できるので、その分、目の前のタスクにエネルギーを注ぐことができます。
作業時間を見積もってみる。
同時系の人は、時間感覚が苦手な傾向があるそうです。
確かに私自身、時間の使い方が自由なフリーランスの気楽さから、だらだらと時間をかけて仕事をしてしまったり、ブログ記事1本に費やす時間を決めていなくていつまでも完成した感覚にならず下書きばかりがたまっていっています。
普段の作業中に、その作業には何分くらいかかるかを見積もってみてください。
「この文章を書くには30分かかる」
「7分あればここまでできる」
このように、いちいち時間を見積もって作業をしてみると、気分に任せてスケジュールが乱れたり、作業途中で別の作業に移行してしまうことが少なくなります。
特にブログを書くとき、1記事書きあげるのにどれくらい時間がかかっているかわかっていないので、今後意識してみようと思いました。
他人を意識せず、自分のために片づけるとうまくいく。
雑誌の「片づけ特集」で、きれいに片づけているかっこいい人が紹介されていて、「こんな人になりたい!」と挑んでみたものの、片づけ始めたら思うようにいかず、突然シューッとやる気がしぼんでしまった。こんなことがありませんでしたか?
私が過去に断捨離リバウンドを繰り返していたのは、この「他人へのあこがれ」が原因でした。片づけ雑誌の写真のように、すっきり綺麗な部屋にあこがれて、実際にすっきり片づけはするのですが、だんだん物であふれて再び散らかっていました。
自分のために片づけているので、うまくできれば「内側前頭前野」が働いて「もっとうまくなりたい」と感じますし、うまくできなかった場合でも「今度はこうしてみよう」というように前向きに捉えます。片づける目的は、自分が決めて、自分のために片づける設定さえできれば、もう失敗もやる気を失うこともありません。
現在は「誰かにあこがれて」ではなく、「もっとラクしたい」「もっと身軽に自由になりたい」「運気を上げたい」「自分の好き嫌いに正直になりたい」という動機で断捨離をしています。
2015年から4年以上経っても物が少ない状態をキープできているのはそういうことか、と納得しました。
7割で相手に預ける。
資料や企画を作るとき、最後まで作りこもうとせず、7割程度できた時点で相手に送ってみましょう。
これはビジネス書でよく見かける内容なのですが、「わかっているけどなかなかできない」という、私にとっての長年の課題のひとつです。
ついひとりで時間をかけて10割を目指してしまう癖があるので、改めてもっと意識しようと思いました。
「最初にやること」を1つだけ決めて、それは守る。
朝、家を出る前や通勤中に、今日の予定を頭の中でロールプレイしていたのに、会社に着いた途端、デスクの上にある目についたものから読み始めてしまい、今朝のロールプレイとは全く違う作業をしてしまう。こんな経験はありませんか?
朝起きたら、すぐブログを書こうと思っているのに、つい朝食を食べたり動画を観たりしてしまう私。耳が痛いです。
仕事の段取りをなおざりにしないためには、「朝、ロールプレイした行動の最初の1つだけは守る」というルールを設けてみましょう。
デスクに座ったら、自分が決めた最初の1つだけはすぐに取り掛かります。周りから面白そうな話が聞こえてきても、これだけは守る。
~中略~
このようにルールを設けてみると、1つ作業を終えた時点で、脳の中で次々に作業が関連付いて、流れるように仕事が進みます。
ブログなら「とにかく一文を書く」というところからトライしてみます。
同時系の課題「継続性」と「安定感」を身につけるための習慣「5S」。
1.整理
選択肢を減らすことで、脳のエネルギーの浪費を防ぐ。
2.整頓
脳に余計なものを見せない。
3.清掃
場を綺麗にするためだけでなく、忘れていた郵便物など、見落としを防ぐことができる。
4.清潔
体調管理につながる。
パソコンを使って仕事をする人を対象にした実験では、作業中、5分に1~3回のペースで顔を触っていることが明らかになっています。
顔を触ることは生理学的にどんな行為かというと、手についた病原菌を粘膜を通じて体内に届けている行為です。
確かにこのブログ記事を書いてる間中、何度も顔を触りまくっています。
5.躾
自分の感情をうまくコントロールする。
脳は、一度にどのくらいのことを覚えていられると思いますか?
この答えは、4つです。
~中略~
脳が容量オーバーになっているあなたは、上司の声に対してどう反応するでしょうか。「この忙しいときに!」とイラっとするかもしれません。上司には何の罪もないのですが。
脳の容量を超えたところで刺激を受けると、ストレスの指標となるコルチゾールが増えることが明らかになっています。
ここで、「7割で相手に預ける」という対策が活きてくるとのこと。
時間を区切って意図的にぼんやりする。
同時系は、気分が乗ったときに一息に仕事を片づけようとします。脳は、情報収集をしたらそれをまとめる作業をして有機的な情報を作り上げるので、一度に詰め込んで仕事をするのは、脳の働きからすると、かえって非効率ということになります。
そこで、適度に休憩をはさむようにすると、脳が「デフォルトモードネットワーク」という、脳内の情報を整理するモードに切り替わるとのこと。
うとうと眠くなってきてから「だめだ」と席を立つようでは、判断が遅すぎます。あくびをかみ殺したり、伸びをしているときは、もう脳は睡眠に入り始めています。
それより前の段階で、文章を読んでいて、同じ行を2、3回読んでしまうことがあったら、これはマイクロスリープという現象です。このとき脳は、睡眠の脳波が混ざっているので自覚的には眠ってはいませんが、睡眠はスタートしています。
さらに前の段階では、集中が切れてくると、眼球が細かく動き、対象のもの以外にもちらちらと視線を走らせるようになります。これは、マイクロサッケードという現象です。自覚的には、なんだか気が散るとか、関係ないものが目に付く、といった感じだけですが、この段階から睡眠は始まっています。
こうしたサインに気づいたら、席を立ったり、ぼんやりしたり、目を閉じたりすると良いようです。
売上に直結しない努力はやめてみる。
同時系の人は、その都度工夫して行動するのと引きかえに、自分が努力してとった行動をあまり覚えていません。
そこで、普段行っている作業を、朝から夜まで挙げていき、それぞれどのくらいの時間がかかるのかを書き出すことが効果的なようです。たとえば、
新しいブログ記事を書くのに1時間、
過去のブログ記事をリライトするのに1時間、
勉強に2時間…など。
その行動は、果たしてすべて「売り上げを上げるため」になっているでしょうか。実は、「売り上げを上げるために努力をしている」というつもりでも、結果として売り上げには貢献していない行動が含まれるのではないでしょうか。
同時系の人は、目配りでき、その都度努力をするので、自分で仕事を増やしてしまうことがあります。大きな目標に自分の行動が見合っているのか、見合っていない行動はやめてみる、見合っていたらその行動にはどのくらいの時間がかかっているのか、これを数値化すると、余分に頑張り過ぎてしまっていることを発見できます。
~中略~
実データをもとに自分を抑制するぐらいが、本来のあなたの能力を発揮させるのには良いのです。
パソコンや仕事で使うソフトのショートカット機能をほとんど使いこなせていない私。その分無駄に時間がかかっているはずなので、そういう無駄な手間をなくしていこうと思います。
まとめ:整理整頓に問題はないので継次系だと思っていたら、めちゃくちゃ同時系でした。
とはいえ、 100%同時系!ということでもなく、7割くらい同時系という感じです。
アイテムの整理整頓は習慣づいた私ですが、仕事を効率よくこなすことや、ブログネタが溜まりがちなことはまだまだ課題なので、とても参考になりました。
日々コンスタントに効率よく作業をこなす人と比べて「ムラがある自分はダメだ」と罪悪感や劣等感を持つ必要はなく、「脳のタイプの違いだから、違うタイプの人と同じやり方にこだわらず、自分のタイプにあったやり方でカバーすればいい」という切り口が新鮮な1冊でした。