気が付けば今年もまた確定申告の時期がやってきました。
漫画家(個人事業主)である私の場合、デビューしてから3年間は自力で白色申告をしていたのですが、青色申告に切り替えるタイミングで税理士さんに依頼し、以降10年(2021年時点)、ずっと丸投げ状態でお願いしています。
フリーランス、特に漫画家の具体的な税理士さん話って、自分が当時調べたときも今もほとんど見かけないので、ひとつの例として書いてみようと思います。
- 最初は自力かつ手書きで白色申告していました。
- 複雑になってきたので青色申告を考えはじめた。
- 整体師さんの紹介で市内の税理士さんを知った。
- 税理士さんと会い、そのまま依頼することに。
- 税理士さんが毎月来訪:月次処理について。
- 確定申告後、綺麗にまとまった帳簿が戻ってくる。
- 1年間の税理士費用。
- 請求書の作成も代行してくれる。
- 県外でも対応してくれる。
- 賃貸契約の際、信用のひとつになる。
- 税理士に依頼するデメリット。
- 税理士に依頼するメリット。
- まとめ。
- 追記:2019年の確定申告も無事終えました。
- 追記:2020年の確定申告も無事終えました。
- 関連記事はこちら。
最初は自力かつ手書きで白色申告していました。
2008年に漫画家デビューしたので、初の確定申告は2009年です。
当時はPCを持っていなかったので、携帯(ガラケー)で読めるページを懸命に検索して、漫画家の確定申告について調べていた記憶があります。
ルーズリーフに経費分の領収書をテープで貼って、原稿料や印税の振込明細書と一緒にファイルに綴じていました。(2014年から白色申告でも帳簿が義務化されたので、いまはもっとちゃんとした形式が求められるかも)
税務署に確定申告用の用紙をもらいにいき、一緒についてくる手引きとにらめっこをしながら、自分で計算、手書きで記入、自分の足で税務署に申告書を提出していました。
複雑になってきたので青色申告を考えはじめた。
書類を書く作業は好きなので苦にならなかったのですが、仕事が忙しくなり、
・時間の余裕がなくなってきた
・年収が増えた
・経費の領収書が増えた
ことから、「そろそろ青色申告に切り替えて専門家にお願いしたほうがいいかも」と考え、税理士さんへの依頼を検討しはじめました。
整体師さんの紹介で市内の税理士さんを知った。
当時通っていた整体師さんも個人事業主。
雑談の中でその方が依頼している税理士さんを教えてもらい、HPをチェック。連絡してさっそく会ってみることに。
この紹介がなかったら、自分で近くの税理士事務所を1から探したか、今なら「税理士ドットコム」(税理士検索・紹介サービス)を利用していたと思います。
その整体師さんの場合は、自力で帳簿と申告書を書いて、最後のチェックのみ税理士さんにお願いしているとのこと。
せっかくなら帳簿ごと丸投げしたい。
税理士さんと会い、そのまま依頼することに。
これまでの手作り帳簿を手に、税理士さんの事務所へ。
2月11日という、確定申告シーズンど真ん中。税理士さんに優しくない時期です。
漫画家の確定申告は初めての様子。人柄がおだやかで丁寧な印象だったのでお願いすることにしました。女性の税理士さんです。相性はとても大事だと思います。
すでに申告時期に入っている今回は、
・月別に分けた前年分の経費の領収書
(ひと月ごとに封筒に入れたのでよい)
・年金、国民健康保険、市民税の領収書
・経費分の通帳(プライベートと混じっていても良い)
・取引先から届いた支払調書(1月頃に届く)
を持ってきてくれれば良いとのこと。
すべて揃えて税理士さんに預けたのは3月2日の20時でした。ひどい新規客です。 (確定申告の期限は3月15日)
はじめて税理士さんに依頼した年の費用。
確定申告が完了して4月に還付金が戻り、2週間後くらいに税理士さんに振り込み。
約14万円でした。
税理士さんが毎月来訪:月次処理について。
それ以降、月に1度、税理士さんに自宅にきてもらい、1か月分の経費の領収書や原稿料の振込明細などを渡し、その場で税理士さんのPCに帳簿がつけられてゆくという「月次処理」をしてもらっています。
月次処理の目的とメリット。
・レシートのインクが薄くなる前に帳簿づけできる
・何に使った経費か忘れないうちに帳簿づけできる
・税務署から届く書類についてすぐ相談できる
・確定申告時期になってから焦らなくて済む
・確定申告時期に1年分の領収書を渡された税理士さんが絶望しなくて済む
税理士さんとしては5番目が月次処理の最大の目的だと思います。
ほかにも、
・先月との収益の比較や前年比が確認できる
というのもあるのですが、
自分でも簡単に収支の家計簿をつけていることと、「赤字か黒字かだけ分かっていればいい」というざっくりした人間なので実はあまり聞いていません。
普通に生活できていれば良し。
月次処理のときに見せるもの。
・1か月分の経費の領収書
(現金払いしたレシートやクレジットカードの明細書など)
・出版社(取引先)から送られてくる稿料・印税の振込明細書
・経費や税金、年金が引き落とされている通帳
・その他税務署から届いたもの
領収書は手書きのものよりレシートが望ましい。
はじめは「○○様」と書かれた、お店の捺印つきの手書き領収書がベストなのかと思っていたのですが、
「文房具代として」などとざっくり書かれたものよりも、「消しゴム」と品名が印字されたレシートのほうが具体的でベストとのこと。
忘れた頃に税務調査が入ったとしても、「何に使った代金なのか」を、本人、税理士、調査員の全員が一目瞭然で把握できることが大事なようです。
経費とプライベートの品が混ざったレシートは、経費分がわかりやすいようにラインを引いています。
ぱっと見なんの商品なのか分かりにくい場合は、自分や税理士さんが把握しやすいよう、脇に「封筒」「消しゴム」など、かんたんな補足メモを書いておきます。
プライベートに使ったお金の明細は見せなくていい。
税理士さんが見るのはあくまでも「経費の分だけ」です。
通帳やクレジットカード明細など、経費分とプライベート分が混ざっていても問題ないのですが、税理士さんに見せる必要はない部分なので、プライベート部分を見られたくない場合は通帳やカードをきっちり分けると安心です。
私の場合は、通帳もカードも一応分けてありつつ、たまに混ざってます。
月次処理にかかる時間とその間の過ごし方。
そのときの領収書の量とお互いの多忙具合によりますがだいたい2~3時間程度です。
作画をフルデジタル化しデータ納品している現在は、領収書が激減したので30分くらいで処理が終わります。
あとはついつい雑談に花を咲かせて、気づけばやっぱり2、3時間です。(時間の比率がおかしい)
税理士さんが作業をしている間は、飲み物を出したあと、税理士さんが集中しやすいようにしばらく別室で仕事をしていたり、読書をしたりしています。
確定申告時期が来たらやること。
普段通り、1月の月次処理時に12月分の領収書と、1月頃に取引先から届く支払調書を渡します。
それ以降に遅れて届くものもあるので、残りの領収書と支払調書が揃い次第、税理士さんに渡します(急ぎの場合はFAX)。
これで私の作業は終了です。
確定申告書が完成したら、税理士さんの手によって電子申告(e-Tax)されます。
2月上旬には支払調書などすべて渡しきって、遅くても3月頭あたりには確定申告が終わっています。
あとは払いすぎた税金の還付を待つばかり。
確定申告後、綺麗にまとまった帳簿が戻ってくる。
1年分の領収書や帳簿、そして確定申告の控えが税理士さんの手で綺麗にファイリングされて戻ってきます。
預けたレシートや領収書も1冊にまとめられています。
画像はアナログで仕事していた頃のものなのでぎっしり分厚い…。(フルデジタルかつペーパーレス化に切り替えた現在はこれの3分の1くらいです)
帳簿も細かく丁寧に作られています。
1年分がひとつのBOXにまとまっているので、管理がしやすくてとても有難いのです。
1年間の税理士費用。
帳簿づけから確定申告まで丸投げし、毎月約2万円、年間で約25万円です。
自分の年収や、税理士さんに任せる作業量、税理士事務所の料金設定等によって個人差があります。
個人事業主の税理士費用の相場を調べると、丸投げの場合、毎月2万5千円+決算料8万円で年間38万円〜となっているので、私がお世話になっている税理士さんの税理士報酬は、かなり良心的な額だと思います。
>【参考】個人事業主の税理士費用|年間売上別の料金表【税理士ドットコム】
請求書の作成も代行してくれる。
原稿料は会社によって、
・請求書不要で振り込んでくれるところ
・請求書を送ったら振り込んでくれるところ
の2パターンに分かれます。
請求書を送る場合、原稿を扱い慣れている会社ならば、請求書のフォーマットが用意されていて、添付の手引きに沿って記入し、郵送やデータ添付で送るだけ、と簡単なのですが、そうでない会社の場合、こちらで用意する必要があります。
私も一度、フォーマットごと用意しなければならず、ちんぷんかんぷんだったことがあり、税理士さんに相談してお任せしました。
費用は封筒代と切手代のみの支払いだった記憶が。毎月毎回となると、変わってくるかと思います。
県外でも対応してくれる。
2017年に他県へ引っ越しました。
てっきり、税理士も引っ越し先の土地で新たに探し直す必要があると思い、「税理士ドットコム」の利用を検討していたのですが、県外でも対応してもらえるとのこと。さすがに県外まで来てもらって月次処理するのは大変なので、領収書等は郵送することに。
メールやデータ添付など、ネットでやりとりできるようになった近年の環境も大きいと思いますが、こちらも税理士さんによって対応は変わります。
賃貸契約の際、信用のひとつになる。
引っ越しのため部屋探しをしていたとき、フリーランスということで直近の確定申告の控えの提出を求められたのですが、「税理士の捺印がある申告書ですか」と2か所の不動産屋さんで訊かれました。
信用度のめやすになるようです。
不動産屋都合の勝手な話といえばそうなのですが、貸す側として安心感があるというのはわかります。
税理士に依頼するデメリット。
お金がかかる。
たくさん稼げている年は良いですが、そうでもない年は、税理士報酬が家計を圧迫する原因のひとつになるので、「freee」や「やよいの青色申告オンライン」「マネーフォワードクラウド」などの会計ソフトを利用して自力でやるのが一番安上がりです。
自分で考えなくなる。
ずばり今の私です。
すべて任せっぱなしなので、税や申告関係について自分で考えることがなくなり、用語もやり方も忘れてしまった&無知状態です。
なんでも一人で抱え込むタイプなので、むしろ何も考えずに人に任せるくらいでちょうどいいような、ちょっと本でも読んで勉強したほうがいいような…。
おとなしい人は税理士を変えにくい。
人柄であったり、費用であったり、
仕事の丁寧さや確実さであったり、
単純に異性か同性かであったり。
ちょっと他の税理士さんに変えたいなと感じた場合、おとなしい人やコミュニケーションが苦手な人は、税理士さんを変えたり、依頼をやめたりする際にストレスがかかると思います。
その場合は、確定申告時期の仕事量を調整してでも自力でやるほうが断然気が楽です。
税理士に依頼するメリット。
とにかくラク。
私が1年を通してやる作業は、
・毎月、経費分の領収書や収入明細を渡す
・ときどき必要書類に署名捺印する
のみです。
すべて丸投げ、渡すだけ。
アシスタントさんの給与に関するあれこれや、税務署から届く書類、請求書…。
なんでも相談、お任せしています。
専門家という安心感。
もし税務調査が入った場合でも対応してくれますし、専門家が作った帳簿なので安心感があります。
自分の時間が増える。
自分でやる手間やプレッシャーがなくなるので、「時間をお金で買う」ことのありがたさを痛感できるのが私の中での一番のメリットになっています。
まとめ。
以上、フリーランスの漫画家による「税理士さんに丸投げの確定申告」について、思いつく限りでまとめてみました。
ひとりの税理士さんしか知らないので、かたよった部分や、この限りでない部分もあるはずですが、ひとつの参考になれば幸いです。
追記:2019年の確定申告も無事終えました。
フルデジタル化とペーパーレス化のおかげで相変わらず領収書が少ないので、確定申告後に税理士さんが送ってくれる帳簿類も、青いBOXではなくクリアファイルにまとめた状態で戻ってきました。
現在我が家で一番かさばる紙類が確定申告系書類なので、コンパクトになっていくのがとても嬉しいです。
去年の分の青BOXに一緒に入れて保管しています。
追記:2020年の確定申告も無事終えました。
ここ数年、領収書類が少ないので、毎月でなく数ヶ月分をまとめて郵送していたのですが、
今回は仕事にかまけているうちにズルズル先延ばししてしまい、数ヶ月分どころか、1年間分の領収書類を2月にまとめて送るという、税理士さんに優しくない行為をやらかしてしまいました。
1年分となると、いくら領収書が少なくても、「なにに使った経費なのか」忘れているものも多く、スケジュール帳のメモや通販サイトの注文履歴を探して使い道を特定する作業が結構大変でした。反省。
ですが税理士さんのおかげで、3月あたまに無事確定申告を完了できました。
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