みにまるなひげ

引っ越しの多いミニマリスト漫画家「ひげ羽扇」のブログ。


【読書メモと感想まとめ】仕事と時間の断捨離。99%の無駄を捨てる「エッセンシャル思考」。

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グレッグ・マキューン著のビジネス書「エッセンシャル思考」(かんき出版)を読みました。

より少なく、しかしより良く」をコンセプトに、時間や仕事の無駄を正しく減らして、成果を最大化する方法が書かれています。

本書を読めば、他人の期待に振りまわされず、自分に正直に生きる方法が見つかるだろう。より効率良く生産的になり、仕事もプライベート途中もこれまでよりずっと充実するはずだ。

大事なものを知り、不要なものを捨て、決めたことをスムーズにやりとげる。人生のあらゆる場面で、仕事や用事を正しく「減らす」。そのためのやり方を紹介しよう。 (本書より)


具体的な体験談や実践例も多く取り上げられているので、わかりやすくて読みやすいです。

著者はシリコンバレーのコンサルティング会社、THIS  Inc.のCEO。

世界中でエッセンシャル思考の講演をおこなっており、アップル、グーグル、Facebook、Twitterなどの有名企業にもアドバイスを与えているとのこと。

アメリカでベストセラー入りした本書は、日本でも2014年発行以来、20万部以上のロングセラーとなっています。

生き方や働き方をとことんシンプルにして、より充実した人生を求める人におすすめです。

ミニマリストである私自身、もともとは物も考え方もガラクタだらけの「非エッセンシャル」人間なので、グサグサと刺さる部分がいっぱいでした。

グッときた部分の読書メモと感想をまとめます。

【読書メモ】グッときた部分。 

選択肢が多いと、正しい決断ができなくなる。

私たちはこれまでになく多くの選択肢を持つことになり、その数に圧倒されている。何が大事で何がそうでないかを見分けられなくなっている。

心理学で「決断疲れ」と呼ばれる状態だ。選択の機会が増えすぎると、人は正しい決断ができなくなるのだ。(33ページ)


人が方向性を見失う理由として、ほかに「他人の意見がうるさすぎる」「全部手に入れよう、全部やろうとしてしまう」ことが挙げられています。 

人生も仕事も、クローゼットと同じ。

人生も仕事も、クローゼットと同じだ。

必要なものと不要なものを区別できなければ、どうでもいいことで埋めつくされてしまう。

捨てるしくみをつくらないかぎり、やることは際限なく積み上がっていくばかりだ。(36ページ)

 エッセンシャル思考の整理法。

1.評価する
「いつか着る可能性があるだろうか?」という考え方はやめよう。そのかわりに、「大好きか?」「すごく似合うか?」「しょっちゅう着るか?」と考えよう。もしも答えがノーなら、それは不要なものだ。

2 .捨てる
「やっぱり、もったいない」と感じるのも無理はない。心理学の研究によると、人はすでに持っているものを、実際よりも高く評価する傾向があるという。(中略)そんなときは、こう考えてみよう。

「もしもこれを持っていなかったら、今からお金を出して買うだろうか?」

すると、知らず知らずバイアスがかかっていたことに気づくはずだ。 


3 .実行する
クローゼットをきれいに保つには、そもそも散らからないしくみづくりが不可欠。つまり、仕事や用事を頼まれるたびに、イエスかノーかを正しく決めることが必要だ。(36ページ)

選ぶ基準を明確にするための問い。 

「自分は何が大好きか?」
「自分は何がいちばん得意か?」
「世の中の大きなニーズに貢献できるのは何か?」
(42ページ)

できる人は「ノー」と言う。 

ピーター・ドラッカーはこう言っている。

「できる人は『ノー』と言う。『これは自分の仕事ではない』と言えるのだ

不要なことを捨てるためには、誰かにノーを言わなくてはならない。しかも、頻繁に。(43ページ)

「努力したぶんだけ報われる」というのはただの幻想。 

 12歳のころ小遣い稼ぎのために新聞配達のアルバイトをした著者。「努力した分だけ報われる」というのはただの幻想だと語ります。

つらい労働の経験は、私のコスト意識を決定的に変化させた。ほしいものがあると、「新聞配達何日分」という数字に置き換えるようになった。1ポンドのお金は、1時間の労働だ。

そこで私は、頭を使った。どうすればもっと早くお金が稼げるだろうと考えた。

新聞配達のかわりに、隣の家の洗車するのはどうだろう。料金は1台につき2ポンドだとして、1時間あれば3台は洗える。1時間=1ポンドだったのが、1時間=6ポンドになるのだ。

それに気づいた瞬間、私は人生の大きな教訓を学んだ。

「ある種の努力は、ほかの努力よりも効果が大きい」

(中略)努力は大切だ。だが、努力の量が成果に比例するとは限らない。がむしゃらにがんばるよりも、「より少なく、しかしより良く」努力したほうがいい。(59ページ)


私も最近では、買い物をするときや仕事をするとき、「1日あたり、いくら払う(もしくは稼ぐ)ことになるのかな」とざっくり計算することが増えました。

「2万円の財布を3年間使うとすると、1日約18円でその財布を使っていることになるんだな」

「1日8時間執筆して、全ページ仕上げるまでに◯日間かかるとすると、時給は◯円か」などなど。

お金の使い方や仕事の効率が変わります。

自分のための時間を確保する。

LinkedIin(リンクトイン)のジェフ・ワイナーCEOは、毎日合計2時間の空白をスケジュールに組み込んでいる。

その時間には何も予定を入れない。相次ぐミーティングに振りまわされ、まわりが見えなくなるのを防ぐためだ。

最初はさぼっているような気分になったが、実践してみると生産性が確実にアップした。

自分のための時間を確保することで、人生の主導権を取り戻せたと彼は言う。(92ページ)


真面目だったりワーカホリックの人にとって、「休む=サボる」ような気がしてしまうのは「あるある」ですよね。

情報の本質をつかみとる。

情報の本質をつかむ例として、 高校のジャーナリズム入門でシムズ先生が出した問題があげられています。 

最初の数行で、情報の本質を伝えなくてはならない。シムズは生徒たちに話の要約を書くという課題を与え、次のようなストーリーを読み上げた。

「ビバリーヒルズ高校のピーターズ校長は今朝、職員一同に研修旅行の知らせを告げた。来週木曜、職員全員でサクラメントへ行き、新たな教育メソッドに関する会議に参加する。当日は人類学者のマーガレット・ミードや教育学者のロバート・M・ハッチンズ、カリフォルニア州知事のパット・ブラウンによる講演も予定されている」

生徒たちはタイプライターに向かい、いっせいに要約を書きはじめた。

「マーガレット・ミード、ロバート・M・ハッチンズ、ブラウン州知事は、教育会議に参加し……」「来週木曜日、高校の職員一同はサクラメントで……」

シムズは生徒たちの要約に目を通してから教卓に置き、どれも駄目だ、と首を振った。そしてこう言った。

正しい要約は、「来週木曜は学校が休みだ」。(96ページ)


 「アハ体験」並みにスカッと感動したので思わずメモ。

 遊びが大切な理由3つ。 

1 選択肢を広げてくれる
(→視野が広がり、常識にとらわれないやり方が見えてくる)

2ストレスを軽減してくれる
(→ストレスは認知機能をつかさどる部分の働きを弱め、結果、うまくものを考えられなくなってしまう)

3 脳の高度な機能を活性化する
(→計画、優先順位づけ、スケジューリング、予測、委譲、決断、分析などの実行機能に良い影響を与える)
(112ページ)

 その他「遊ぶこと」の効果について、

「体が健康になり、人間関係が改善され、頭が良くなり、イノベーションが起こしやすくなる」
「脳の柔軟性を高め、創造的にしてくれる」

という実験結果や、「よく遊ぶ熊ほど長生きする」という研究結果についても書かれています。

働きすぎないように制御する。

睡眠をおろそかにして多忙な仕事生活を続けた結果、身体を壊して会社を辞めたCEOの言葉から。 

活動的で向上心あふれる人にとって、自分を酷使するのは苦痛でも何でもない。本当に難しいのは、働きすぎないように制御することだ。彼は自分と同じようなハードワーカーたちに、こう語りかける。

「自分の能力に自信があるなら、ひとつ大きな難題に挑戦してみてください。目の前のチャンスをきっぱりと断り、昼寝をするんです」(122ページ)

睡眠を削っている人は酔っぱらいと同じ。 

ハーバード・メディカルスクール教授のチャールズ・A・ツァイスラーによる記事をもとに、睡眠を削ることの危うさについて語られています。

彼は睡眠不足を酒の飲みすぎになぞらえ、1日の徹夜や1週間の4〜5時間睡眠によって「血中アルコール濃度0.1%分に相当する機能低下」が起こると説明する。

「酔っぱらいを見て『いつも酔っているなんてさすが働き者だ!』と言う人はいないだろう。それなのに、睡眠を削っている人はなぜか働き者だと評価される」(126ページ)

中途半端なイエスをやめる。

「やろうかな」程度のことなら却下する。「イエス」と言うのは、絶対やるしかないと確信したときだけだ。

ある経営者は、ツイッターでこう言った。

「絶対にイエスだと言いきれないなら、それはすなわちノーである」 (132ページ)

 

どうでもいいことを捨てられずにいると、本当に重要なことをする余裕がなくなってしまうのだ。(133ページ)


ここで著者は、100点満点中90点未満のものは、すべて0点と考える「90点ルール」を推奨しています。

一見厳しいルールですが、「妥協すれば自分が損をするだけだ」とのこと。

実際にやってみると、90点未満のものを削るだけで、物も考え方もシンプルになり、かなりラクになります。 

捨てる決断ができないときは。

「これをまだ持っていなかったら、今からお金を出して買うだろうか?」

買うと言いきれないなら、それは必要ではない。仕事でも生活でも同じだ。

「もしもこの話が来ていなかったら、自分から積極的にチャンスを求めに行くだろうか?」

(中略)考えるべきは「どれを引き受けようか?」ではない。「何にノーと言うか?」である。 

(中略)仕事や人生の決定打となるブレイクスルーは、不要なものを切り捨てることから始まるのだ。(149ページ)

「かなり明確」を「完全に明確」にする。 

「これからの5年間で、どんな仕事を成しとげたいですか?」

という問いに、とことん明確に答えられる人はあまりに少ない。

私が完全な明確さにこだわるのは、それが仕事の結果に直結するからだ。これまで多数の経営者を見てきたが、目的が明確さを欠く場合、結果はたいてい悪い方向に向かっていった。(152ページ)


目的が明確でない場合、人はどうでもいいことに時間とエネルギーを浪費してしまうとのこと。 耳が痛いです。 

人は「ノー」という勇気のある人を高く評価する。

断ることで相手を失望させたり怒らせたりするのでは、という不安について。

むしろ、断ることでより良好な関係を築くことが可能になる。

エッセンシャル思考になってからつくづく実感するが、人はノーと言う勇気のある人を高く評価し、尊敬するのだ。 (168ページ)

ドラッカーの生産性の秘訣。 

現代マネジメントの父ピーター・ドラッカーも、ノーを言う達人だったとのこと。

創造性に関するインタビューの依頼を断る手紙が紹介されています。

私にとって生産性の秘訣とは(創造性はわかりませんが生産性は信じます)、特大のくずかごを用意し、すべてのこうした誘いをそのなかに入れることなのです。

これまでの経験から言って、生産性とは他人の仕事を助けることではありません。天から与えられた才能を最大限に生かすべく、持てる時間のすべてをそこに費やすことなのです (169ページ)


伝えかたはまろやかですが、しっかり断ってます。

不本意なイエスは言わない。

非エッセンシャル思考の人は、周囲の期待やプレッシャーに負けて、不本意なイエスを言ってしまいがち、とのこと。

よく考えないまま、相手を喜ばせるためだけに仕事を引き受けてしまいます。

一方、エッセンシャル思考の人は、そうした気分のよさが長続きしないことを知っている。

一瞬の満足のあとでやってくるのは、深い後悔だ。なぜこんなことをやらねばならないのかと、相手を恨み、自分を責める。もっと重要な仕事が犠牲になったことに気づき、ショックを受ける。 (170ページ)


身に覚えがありすぎてつらい…。

相手の機嫌を損ねてでもノーを言う。

エッセンシャル思考の人は、みんなにいい顔をしようとしない。時には相手の機嫌を損ねても、きちんと上手にノーを言う。

長期的に見れば、好印象よりも敬意のほうが大切だと知っているのだ。 (173ページ)


「上手なノーの言いかた」が思いつかなくて苦労するときもありますが、不器用な断りかたでも意外とすんなり受け入れてもらえることは多いです。

ゆっくりイエスを言い、すばやくノーを言うこと。

「われわれに必要なのは、もっとゆっくりイエスを言い、もっとすばやくノーを言うことだ」(179ページ)


ハイドリック・アンド・ストラグルズ社のトム・フリールCEOの言葉から。

 例外を許すと、例外だらけになる。

「一度でも例外を許したら、その後は例外だらけになってしまいます」とクリステンセンは語る。

仕事の線引きは砂の壁のようなもので、一カ所が崩れると、ほかも一気に崩壊してしまうのだ。(207ページ)

 

はっきりとした線引きがなければ、他人はどこまで踏み込んでいいかわからず、どんどん侵略してくる。

いちいち対応していたら、自分の大切なものが見えなくなってしまう。 (208ページ)

なるべく努力や根性がいらないようにする。

非エッセンシャル思考の人は、努力と根性でやりとげようとする。

だがエッセンシャル思考の人は、なるべく努力や根性がいらないように、自動的にうまくいくしくみをつくる。 (216ページ)

 

人はラクをしようとする生き物だ。

だから、何の苦労もなくスムーズに正しい行動ができるようにしておこう。 (217ページ)

 クリエイティブな人の厳格な習慣。

 「フロー体験」の研究で知られるミハイ・チクセントミハイは、きわめてクリエイティブな人びとが、実は厳格な習慣に従って行動していることを明らかにした。

「創造的な人は、自分に合った生活リズムを早い時期に見つけます」とミハイは説明する。

「睡眠、食事、仕事のリズムを守り、それを乱すような誘惑に負けません。心地良い服を身に着け、気の合う仲間とだけつきあい、よけいな行動には手を出しません。

もちろん、そうしたやり方はまわりの人間に好まれないでしょう。

ですが、自分の行動パターンを遵守すれば、よけいなものごとに注意を奪われずにすみます。本当に重要なことに全力で集中できるのです」 
(259ページ) 

エッセンシャル思考を身につける恩恵3つ。

・迷わない
日を追うごとにTODOの数は少なくなり、最優先アイテムと2番目のアイテムの差が大きくなり、自分の本当にやるべきことがクリアに見えてくる。やればやるほど、エッセンシャル思考はどんどん簡単になっていくのだ。

・流されない
エッセンシャル思考の人は、自信を持って立ち止まり、ゆっくりと考え、きっぱりとノーを言うことができる。もう他人に振りまわされたり、こき使われたりしない。 

・日々が楽しくなる
ダライ・ラマも言っている。「シンプルな人生は満たされた人生です。幸福に生きるためには、シンプルであることが何より重要なのです」
(291、292ページ) 

【感想】ミニマリストが読んでもグサグサ刺さる1冊です。

物の断捨離をきっかけに、仕事や生き方もシンプルにした私なのですが。

とはいえ、まだ非エッセンシャルな部分と格闘するときもあるので、改めて刺激を受けました。

だいぶ断れるようになってはきたものの、もともと断るのが大の苦手なので、「ノーと言うこと」に関する読書メモが多めです。

本書には、著者自身はどのようにエッセンシャル思考を実践しているか、という具体例や、

いまだに試行錯誤(いいチャンスがめぐってきたときに、つい「忙しいけれど両立できるんじゃないか」と迷ったり)している点についても書かれているので、

親近感がわきますし、自分もエッセンシャル思考になれるかも、と自信もわく内容になっています。

シンプルながらも、かなり濃い1冊です。

本書で紹介されていた小説「動物農場」を読みました。

ジョージ・オーウェルの有名な寓話小説『動物農場』に、ボクサーという名の馬が登場する。まじめで屈強な馬だ。動物たちが困難に出会うたび、「俺がもっと働こう」と言って仕事を引き受ける。(58ページ)

ジョージ・オーウェルは、完全監視社会の恐怖を描いたディストピア小説「一九八四年」で有名な作家です。

動物農場」も、「一九八四年」と同じく世界的に有名なディストピア小説で、ジョージ・オーウェルの代表作となっています。

農場主である人間たちを追い出し、自由を手に入れた農場の動物たち。一番賢いブタをリーダーに、豊かで幸せな生活を始めた動物たちだったが、だんだん歯車が狂いはじめ…。といった物語です。

真面目で愚直な馬ボクサーが、周りのぶんまで抱え込んだ結果が切ないです。 

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