みにまるなひげ

引っ越しの多いミニマリスト漫画家「ひげ羽扇」のブログ。

【読書メモと感想】よりよい人生を送るための52の考え方。「Think clearly(シンククリアリー)」。

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ロルフ・ドベリ著の自己啓発書「Think clearly(シンククリアリー)」(サンマーク出版)を読みました。

本書を読むと、よい人生を送るというのは、「物質的に満たされることではなく、ストレスを引き起こすような考え方を避けて心を充実させること」だとあらためて気づかされる。

ここで取り上げられている52の章は、それを実現するための具体的なノウハウだ。
(訳者あとがきより)

物も考え方もよりシンプルにしようとしているこの数年、ヒントをもらえそうな本をたくさん読んでいるのですが、本書もその1冊です。

グッときた部分の読書メモと感想をまとめます。

なんでも柔軟に修正しよう。

大事なのは「完璧な計画を立てること」ではなく、「状況に合わせて何度でも計画に変更を加えること」。

どんな依頼も「5秒」で決断する。 

頼みごとをされたときには、その無理な要求を検討する時間は、きっかり5秒間。
(中略)するとほとんどの場合、答えは「ノー」。
(中略)そのほとんどを断っていれば誰からも好かれるというわけにはいかないが、誰からも好かれたいがために頼みごとを全部引き受けるよりはずっといい。

 

古代ローマの哲学者、セネカは2000年前にこんなことを書いている。
「あなたに何かを頼もうとする人たちはみんな、あなたから時間や自由な意思を奪おうとしているようなものだ」。

好ましくない現実こそ受け入れよう。

イギリスの哲学者バートランド・ラッセル
いつまでも芽が出ない劇作家は、自分の作品に価値がない可能性を冷静に検討してみたほうがいい」。
(中略)
自分には何が不足しているかを考え、その「事実」をきちんと受け入れるべきなのだ。

それは「本当に便利なのか」を厳密に考える。

「テクノロジーの多くは、一見それによって時間とお金を節約できているように見えても、実際にかかったコストを計算してみたとたんに、その節約分など消えてしまう」という事実

 

無料で使えるEメール。でも、迷惑メールやメルマガなど、不要なメールもついてきて、それらまでチェックすると膨大な時間がかかる。正確には、パソコンやスマホの購入費の一部をEメールのコストとして計算にいれる必要があり、ソフトウェアのアップデートにかかる時間もある。概算すると、本当に必要なメール1通あたりのコストは1ユーロ。つまり、従来の手紙の郵送料とほぼ同じ。

もっとショートカット機能を使って時短を試みる、ストレージに増えていくデータを整理整頓して探しやすくする、そもそもスマホやPCを眺める時間を減らすなど、デジタル周りの断捨離が個人的課題です。 

「何を手に入れたか」ではなく「何を避けるか」。

「持たないもの」「やらないこと」を決める。

「年収がいくらあれば幸せなのか」を考える。

「年収がいくらあれば、追加収入があっても幸福度が変わらないだろうか?」

(中略)答えは、すでに調査研究によって明らかだ。
(中略)世帯年収が10万ユーロ(約1200万円)を超えると、追加収入が幸福度に与える影響はゼロになる。(中略)そしてそれ以降はずっとゼロのまま、年収が100万ユーロに達しても結果は変わらない。

(中略)基本的な需要が満たされてさえいれば、生活がより豊かになっても幸福度は変わらないのである。

時間のかかるプロセスが、もっとも大きな成果を生み出す。

私たちの脳は、「短期間に一気に状況が変わるような展開」を好むようにできている。
(中略)
一方、ゆったりとした展開にはほとんど気づかない。

そのため、私たちは「何もしない」よりは「している」ほうを、「思案する」よりは「せっせと働く」ほうを、「ただ待つ」よりは「積極的に動く」ことのほうを、高く評価してしまう。

 

 資本は「一定の割合で増えていく」のではなく、「飛躍的な増え方をする」のだ。長期にわたる変化を認識できない私たちの脳は、長期にわたって起こる飛躍的な変化を感じとることもできないのである。

これが、「長い時間をかけて一貫して何かに取り組んだほうが、大きな成功が得られる」という理由である。

(中略)緩慢で、退屈そうに見えて、時間のかかるプロセスが、もっとも大きな成果を生み出すのである。同じことは人生にも当てはまる。

 「得意」「好き」「評価される」ことを仕事にする。

イギリス人の政治哲学者、ジョン・グレイ
「誰からも必要とされない才能を持つ人ほど不幸な人間はいない」

「得意」「好き」「評価されない」ことで収入にならずに諦め、「得意」「きらい」「評価される」仕事で収入増したものの鬱になりパンクした私自身、上記の3つが揃っていることは本当に大切だと実感しています。

評価に一喜一憂しない。

「世間の評価を気にしても、私の本の出来が変わるわけではない」

上記は、書く仕事を始めて間もない頃、読者の感想に一喜一憂して、世間の人々の言葉を本の出来の目安にしていた著者の気づきから。

「評価されること」を仕事にするのは大事だけれど、ひとつひとつの評価にいちいち振り回されたり、評価をもらうためだけに自分を曲げるのはやめよう、というニュアンスです。

自分以外の人間の性格はけっして変えられない。

よい人生にするために、私がもっとも大事にしているルールのひとつに「誰かの性格を変えなければならないような状況を避ける」というのがある。このルールのおかげで、私はこれまでたくさんの厄介ごとやお金の無駄づかいを避けてこられた。誰かに失望させられることもなかった。

たとえば私は、性格の改善が必要な人間は雇わない。
(中略)
そして、どんなに多額の利益が見込める場合でも、自分と波長の合わない人たちとはビジネスをしない。

 「今後は付き合いをやめたい人たち」の名前を書く。

自分と波長の合わない人たちにあなたの人生から出て行ってもらうためには、どうすればいいだろう?

私はこんなことをしている。毎年12月31日になると、妻と私は、1枚のメモ用紙に1人ずつ、「今後は付き合いをやめたい人たち」の名前を書いていく。そしてそれを1枚1枚、もったいぶった仕草で投げ捨てる。

だまされたと思って一度やってみてほしい。気分が爽快になって心の健康に役立つ恒例行事である。

言葉で攻撃されたときの対抗策。

今度言葉で攻撃されることがあったなら、こんな対抗策をとってみるといい。ミーティングの場などで悪意ある言葉であなたを攻撃する人がいたら、その人に、その発言をもう一度くり返してもらうのだ。すると、ほとんどの人が負けを認めるはずである。

セルビアの大統領、アレクサンダル・ヴチッチは、あるジャーナリストとのインタビューの最中、そのジャーナリストが自身のウェブサイトに書き込んだ、ヴチッチをひどく侮辱する記述を目の前で声に出して読んでみせるよう求めた。そのジャーナリストは恥ずかしさのあまり、インタビューを中断したという。

賢明な人は問題をあらかじめ避ける。

アインシュタインはこんなふうに言っている。「頭のいい人は問題を解決するが、賢明な人はそれをあらかじめ避けるものだ」。

「情報」は、実際には贈り物ではなく、略奪行為。

情報の中には役に立つものもある。(中略)だが実情を考えたら、私たちは「王様」というより、むしろ誰かに操られる「奴隷」のような気がしていなければならないのだ。

(中略)私たちの前に提示されている「情報」は、実際には贈り物ではなく、略奪行為だ。利益ではなく、損失だと。
情報は私たちに何かを与えているのではなく、逆に私たちから何かを盗んでいる。
(中略)私たちは自分の注意や、時間や、場合によってはお金まで奪われてしまう。

「心の引き算」をしよう。

あなたが右手を失ったと想像してみよう。(中略)今度は、あなたは左手まで失ってしまった。(中略)今度は、視力まで失ってしまった。(中略)あなたはどんな気持ちがするだろう?

(中略)これらの状況を想像すると、あなたは、人生にどのくらい幸せを感じるだろうか?

ストア派の哲学者たちは、すでに2000年も前にこう述べている。
「まだ持っていないものについて考えるよりも、いま持っているものを持てていなかった場合、どのくらい困っていたかについて考えたほうがいい」。

また、「心の引き算」の具体例として、1992年のバルセロナオリンピック開催中、メダリストを対象に行われた調査研究の結果についても触れられています。

「銀メダル」を獲得したメダリストは、「銅メダル」を獲得したメダリストより、幸福度が低かったのだ。(中略)なぜなら銀メダリストは、自分を金メダリストと比較し、銅メダリストは自分をメダルに届かなかった選手と比較したからだ。

(中略)「心の引き算」なら、比較の対象は常に「メダルを獲得できなかった場合」だ。もちろん、メダルを何か別のものに置き換えても「心の引き算」は有効である。

「本当に」相手の立場になってみよう。

ある会社の、優秀なはずの部署同士が対立した。そこで経営者は、「顧客サービス部門」の責任者と「プログラマー部門」の責任者を交換した。暫定措置でなく、正式人事異動として。

唖然としていたどちらの責任者も、立場を交換して1週間も経たないうちに、問題の本質を理解できるようになった。その後数週間で、互いの部署は社内のどの部署間より連携のとれた仕事ができるようになった。

相手をきちんと理解するには、想像の中だけでなく、「本当に相手の立場に立つ」のが一番だ。

軍拡競争に気をつけよう。

若い人たちの多くは、輝かしいキャリアを築くには、「大学」を出なければならないと考える。大卒者の初任給は、大学に行かなかった人たちよりたいてい高いからだ。

だが総体的に見て、社会に出るまでにかかった時間とそれまでの教育費を差し引くと、大半の大卒者の所得額は、彼らより早くから社会に出た人たちとほぼ同じか、もっと低いという結果が出る。

それがくだらないものかどうか確信が持てないときは。

価値のあるもの、質のよいもの、絶対に必要なものはほんのわずかだ。

(中略)それがくだらないものかどうか確信が持てないときは、それはくだらないものだと思って間違いない。

自分の人生に集中しよう。

著者は「ジョブズやエジソンが偉人に見えても、その人たちがいなければ他の人がスマホも電球も発明していたし、数百年や何世紀か経てば、誰も思い出さない人になる」と語っています。

あなたが、何かにおいて突出した成果をあげたとしても、その成果はあなたでなければ得られなかったというわけではない。

(中略)たとえあなたがどんなに優秀でも、世界全体の構造から見れば、あなたはさして重要でも不可欠でもない、取り換え可能な存在でしかない。

あなたが、本当に重要な役割を担っているのは、あなた自身の人生に対してだけだ。

あなたはあなた自身の人生に集中するべきだ。そうすると、自分ひとりの人生をコントロールするだけでも重労働なのがよくわかるはずだ。

 

もちろん、ときには偶然、あなたが責任ある重要なポジションにつくこともあるだろう。そんなときには、与えられた役割を完璧にこなすようにしよう。

(中略)だが、あなたがその重要なポジションにつくのを全人類が待っていた、などという錯覚には、けっして陥ってはならない。

 内なる成功を目指そう。

裕福さや、CEOのポジションや、金メダルや何かの賞など、外の世界での成功を目指している人たちも、本人たちがそれと気づいていないだけで、実は内側の成功を目指している。

たとえば、CEOになった人がボーナスでわざわざ20万ユーロもするIWCの腕時計を買うのも、実用目的というより、自分の手首を眺めて、あるいはその腕時計に向けられる羨望のまなざしを通して満ち足りた気分を味わいたいからだ。

(中略)外の世界での成功を目指している人たちも、その目的は結局、心を充実させることなのだ。

それならば、精神的な幸福を得るために、どうして外側の成功という回り道をしなくてはならないのだろう。はじめから内面の成功を目指したほうがいいではないか。

幸せな人生の秘訣は、最初から「内なる成功」を目指すことなのだ。

まとめ:今まで読んだ自己啓発書やビジネス書の総まとめをした感覚です。

52の方法を紹介されているわけですが、たくさん自己啓発書やビジネス書を読んでいる人にとっては、すでに知っている内容も結構あります。

それでも読んでしまうのは、「まだ出会ったことのない考え方や方法が書かれているかも」という新しい発見への期待感があるから。

そしてそれ以上に、「いろんな本で何度も見て知っているはずの方法を、ちゃんと実践できているか」の再確認ができるからでもあります。

本書を読むことで、今まで読んだ自己啓発書やビジネス書の総まとめをした感覚になりました。

シリーズ第2弾「Think smart(シンクスマート)」の読書メモはこちら。

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シリーズ第3弾「Think right(シンクライト)」の読書メモはこちら。

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同じ著者による「News Diet(ニュース・ダイエット)」の読書メモはこちら。

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