みにまるなひげ

引っ越しの多いミニマリスト漫画家「ひげ羽扇」のブログ。


【読書メモと感想】上下関係も売上目標もなし。新時代の経営モデル「ティール組織」。

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フレデリック・ラルー著のビジネス書「ティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」(英治出版)を読みました。

「ビジネス書大賞2019」経営者賞
「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019」マネジメント部門
「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞2019」ベスト10
「HRアワード2018」優秀賞

など数々の賞を受賞している本書は、従来のピラミッド型の組織ではない、新時代の組織の経営モデルについて、実例(日本の会社も紹介されています)をあげながら解説してくれています。

学生のころから、従来型の組織で働くことにまったく興味が持てず、在宅フリーランスの道を選んだ私。

そんな私でも、本書を読んで思わず「組織ってここまで自由になってきてるのか」とワクワクしました。

グッときた部分のメモと感想をまとめます。

脳は3つある。

脳は3つある。胸と腸。
完全に自律的な神経システムだ。

最近スピリチュアル本も読んでいるので、「胸」はすんなり納得したのですが、腸も自律しているとは驚きでした。

「100万ドルの注文を受けたぞ」ではなく、「10人分の注文を受けた」。

顧客からの注文は常に金額ではなく、必要な人員の面から議論される。

「忙しくしている」ことに無駄な時間を費やさない。

なんとなく忙しいんだけど、たいして仕事が進んでないことって結構あります。

グループの1人がもしリーダーのように振る舞いはじめた場合の対策。

メンバーはいつでも他のチームに移れる。誰もほかの人々に行動を強制できないし、一方的に解雇する権限ももってない。

上下関係のない「ティール組織」での特徴のひとつです。

【実例】仕事が激減したときの、ある作業員の提案。

湾岸戦争によって仕事が激減したとき、生産とコストを削る必要がでた。
 
早いのは、臨時職員の解雇だったが、CEOが全社員の前で、現状について説明し、意見を求めた。

ある作業員が、「今月は3週間だけ働き、その分の給料をもらう。そうしたら臨時職員をとどめておけるのでは。必要であれば、来月も同じようにしますよ」と提案。

みんな賛成した。

25%の給与一時カットに賛成したみんなは、1時間もたたないうちに仕事を再開した。

「 たったそれだけのシンプルなこと」なのですが、組織だとなかなかできないことですよね。痛快です。

進化型(ティール)組織では出世競争がない。

同僚たちから新しい役割を任せられれば自分の仕事を広げ、給料を増やせる。

スキルを磨き、同僚から見て信頼できる。
役立つ社員になれば、重要な役割も担える。

高めたいのは社内の地位ではない。

高めたいのは自分の能力と正当な評価であり、社内の地位ではないのです。

出世への階段を上がりたいという欲が消える。

CEOが退任すると、チームリーダーのうちの1人が自然と後継者になった。

その役割を狙っていたチームリーダーは誰もいなかったようだ。

悔しさや失望で会社を辞める者はいなかった。

社長交代までの間、政治的争いも内紛もなく、後任が任命された後の報復人事も一切なかった。

従業員が自分のしたいことについて全ての判断を任されると、出世階段を上がりたいという欲が消えていく。

あらゆる意思決定の権力は社員が握っている。

社長は5年ごとに、自分がCEOにとどまっていいかどうか投票で決めてほしい、とチームリーダーたちに依頼していた。
 
もし自分が独断的に振舞ったら、その場で声を上げてほしいと期待していた。
 
CEOの解任も含む、あらゆる意思決定の権力は社員が握っている。

ティール組織の社員たちが現状に甘えない理由。

達成型(オレンジ)組織では、従業員にプレッシャーをかける。
 
常により多く、より早く、より安く、部下に仕事をさせるのがリーダーの仕事だ。
 
自主経営組織(セルフマネジメント)組織にはそんな存在はいない。
 
チームはなぜ状況に甘えないのか?

それは、仲間との励まし合いと市場の要求によって、自分の内側から湧いてくる「やってやろう!」という「内発的モチベーション」があるからだ。

全体を把握して、やりたいように仕事を進められていれば、甘えてサボるどころか、楽しくてもっと先へ行きたくなるという仕組みです。 

【解雇について】多くは本人からやめていく。

多くは本人からやめていく。
自分に企画参加を求める同僚や助言を求める同僚が少ないと気づくのだ。

フリーランスが、「自分には需要や才能がないんだ」と感じてそっと辞めていく様子と似ています。

ティール組織での報酬の決めかた。

報酬について、年に1度、社員は同僚全員についての評価を調査票に記入する。2問だ。

この人は私よりも多く、あるいは少なく会社に貢献している」(-3〜+3)

この人には、私を評価できる十分な材料or根拠がある」(1〜5)
 
これを集計し、社員たちを何段階かの給与ベースにグループ分けする。

 
経験豊富で、知識があり、一生懸命に働く人は高給グループに入り、若く経験の浅い社員は低いグループ。

ティール組織には管理職も社内の競争相手もいない。

ティールには、肩ごしに仕事ぶりを覗いてくる管理職も、歩調を合わせねばならない同僚も、いつ競争相手になっても不思議でない仲間もいない。

 そのため、邪魔されることを心配することなく、したい仕事だけに集中できます。

働く社員が楽しいと感じるための適正な規模とは。

そこで働く社員が楽しいと感じるためには、適正な規模がある。
 
従業員の数が多すぎると、社員は意気消沈し、縄張り争いを始める。
 
なすべき仕事が十分にあれば、だれが何をしているか気にする者などいないはずだ。

たしかに大企業はもちろん、中小企業や役所など、社員が多すぎな気がします。

ティール組織では、利益は仕事をうまくやり遂げたときの副産物。

「成功は幸福と同じで、追い求めて得られるものではなく、結果として生じるもの。自身を超越した大義の実現に向けた、個人的な献身による意図せぬ副作用なのだ」
(哲学者、ヴィクトール・フランクル)

利益でなく、存在目的の達成に全力を投じるほど、多くの利益が獲得できる。

 

 正直で、開放的で、何も隠さないという新たな姿勢をとればとるほど、お客様はよりよき地球市民になるための当社の努力に積極的に関わってくれた。

私のハートは仕事をしているか?

私のハートは仕事をしているか?
自分は正しい場所で働いていると感じているか?

これは組織で働く人だけでなく、フリーランスも常に考えるべき問いです。

ティール組織はストレスフリー。

7,000人規模の会社だが、本社の社員数は30人で、ストレスや残業で苦しんでる人はだれもいないようなのだ。 

本社ビルには、静かに集中しているという空気が漂っている。

 
CEOと数時間話してる間、だれかにインタビューを中断されることは一度もなかった。

 
なにもかもが緩やかに進んでいて、ほとんど魔法のように感じるのだ。

 【感想】利用者としても取引相手としても、ティール組織がどんどん増えてほしい。

上下関係や売上目標がある従来型の組織に、フリーランスの自由さと責任感とやりがいを足して2で割ったものが「ティール組織」なのかな、という印象でした。

フリーランスとして組織と仕事をしていると、「上司の判断を聞いたとたん、答えを180度変える人」や「仕事へのやる気や責任感がなさすぎて一緒に仕事をしたくない人」に出会うことがあります。

また、ユーザーとして組織のサービスを利用するときも、「その部分は担当外なので…」とあちこちの部署をたらい回しにされたり、「無責任な対応」をされることも。

ティール組織が増えていけば、利用者としても取引相手としても、こういったモヤモヤを感じることがかなり少なくなるんだろうなと感じました。

未来の社会が明るくなる予感を感じさせてくれたところも、本書を読んで良かった点です。

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