ビジネス書・自己啓発書「Think right(シンク・ライト)」(ロルフ・ドベリ著/中村智子訳/サンマーク出版)を読みました。
誤った先入観を捨てるための52の思考法がまとめられています。
2020年発行の本書は、2013年に刊行された「なぜ、間違えたのか?誰もがハマる52の思考の落とし穴」の改訂・復刻版です。
世界的ベストセラー「Think clearly(シンク・クリアリー)」「Think Smart(シンク・スマート)」に次ぐ第3弾、と見せかけて、実は第1弾である本作は、シリーズの中でもっとも読まれている作品となっています。
クリアリー、スマートと読んできた私。この「シンク・ライト」もさっそく読んでみました。
グッときた部分の読書メモと感想をまとめます。
- 「Think right(シンク・ライト)」読書メモ。
- 賢い人ほど「自分の誤りを証明するもの」に目を向ける。
- 身なりや権威や地位には、一切遠慮してはいけない。
- 少ししかもらえないだけで美味しく感じる。
- 選択肢が多すぎると、生活の質が落ちてくる。
- 選択肢がありすぎると不幸になる「3つの理由」。
- 選択肢が多すぎる場合の対処法。
- 「本物の知識を持っている人」の見極め方。
- 「1万円失う」ほうが「1万円もらう」より印象に残る。
- 利益よりも損失を訴えるほうが相手に響く。
- 起きている時間の90%は他者のことを考えている。
- 専門家の予測はどれくらい信用できるか。
- 人間の不幸は、部屋でじっとしていられないから起こるのだ。
- 「ビギナーズラック」か「才能」か。見分けるヒント2つ。
- 3ヶ月後には幸福感は消える。幸せが長く続くための3つのヒント。
- 「自分自身で影響を与えられること」だけに専念する。
- 【感想】
- シリーズ第2弾「Think smart(シンクスマート)」の読書メモはこちら。
- シリーズ第1弾「Think clearly(シンククリアリー)」の読書メモはこちら。
- 同著者による「News Diet(ニュース・ダイエット)」の読書メモはこちら。
- 関連記事はこちら。
「Think right(シンク・ライト)」読書メモ。
賢い人ほど「自分の誤りを証明するもの」に目を向ける。
賢い人ほど「自分の誤りを証明するもの」に目を向ける(34ページ)
例として、教授が行った実験があげられています。
「2、4、6」に続く数を予測し、数がどんなルールで並んでいるかを当てる。被験者は何度でも数字をあげられるが、ルールを当てるチャンスは一度だけ。
ほとんどの学生は「8、10、12、14」とあげ、教授は「ルールと一致」と答える。そこで学生が「ルールは最後の数に2を加えた数字」と言うと、教授の答えは「NO」。
これに対し、賢い生徒はまず「4」を試し、教授の答えは「NO」。「7は?」「OK」。
賢い生徒はさらに「ー24、9、ー43」などいろいろ試していき、最終的に「ルールは、次に来る数字は前の数字よりも大きくなければならない」と、正しい答えに導いた。
身なりや権威や地位には、一切遠慮してはいけない。
プロのテニス選手がコーヒーメーカーのCMに出たり、女優が頭痛薬の宣伝をしているなど、
ある専門分野で優れた知識や技術を持っている人が、それだけの理由で、専門外のことにまで世間から信頼されてしまうことについて。
わたしは、「専門家」と呼ばれる人と会うときはいつも、相手に遠慮しないでどんどん自分の意見を言うようにしている。
(中略)権威をもつ人を批判的な目で見れば見るほど、他人の影響を受けなくなる。そして、より自分自身を信じられるようになるだろう。(45ページ)
少ししかもらえないだけで美味しく感じる。
スティーブン・ウォーケル教授が行った、2つのグループにクッキーの質を評価してもらう実験によると。
結果は、クッキーを箱ごともらった「グループA」よりも、2枚しかもらわなかった「グループB」の被験者のほうが、クッキーの質をはるかに高く評価した。
実験は何度もくり返されたが、毎回同じ結果が出た。少ししかもらえないほうが、クッキーがおいしく感じたのだ。(50ページ)
選択肢が多すぎると、生活の質が落ちてくる。
「選択肢が多いこと」は、わたしたちを幸せにしてくれる。だが、限界がある。
限界に達すると、余分なものがあることで生活の質が逆に落ちてくる。(53ページ)
選択肢がありすぎると不幸になる「3つの理由」。
選択肢がありすぎると不幸になる3つの理由について、心理学者バリー・シュワルツによると、
第一の理由は、選択肢が多すぎると、考えることをやめてしまうからである。
(中略)
第二の理由は、選択肢が多すぎると、誤った決断を下してしまうからだ。
(中略)
第三の理由は、選択肢が多すぎると、不満を感じるようになるからである。(54、55ページ)
私の場合、格安SIM選びやモバイルWi-Fi選びがまさにこれです。選択肢が多すぎて「とりあえず今のままでいっか…」という結論になりがち。
選択肢が多すぎる場合の対処法。
目の前にある選択肢をあれこれ吟味する前に、まず、自分が望んでいることをよく考えるのだ。
選ぶポイントを書き出し、その条件を満たしたものを手に入れるようにする。
それから、基本的には「完璧なものなど選ぶことはできない」と考えるようにしよう。(56ページ)
「本物の知識を持っている人」の見極め方。
本物の知識をもちあわせている人は、自分が知っていることと知らないことをよくわかっている。
この種の人は、自分が「能力の輪」の外側にいるときには、何も発言しない、もしくは「わからない」と正直に、場合によっては堂々と言う。(124ページ)
「1万円失う」ほうが「1万円もらう」より印象に残る。
「損失」を受けると、同じ程度の「利益」が出たときにもたらされる喜びの「およそ2倍の苦痛」を感じる、
つまり、損をしたときに失われた満足感ーーショックーーは、得をしたときの満足感では埋め合わせられないということが実験で証明されている。(179ページ)
利益よりも損失を訴えるほうが相手に響く。
他人を説得したいときには、可能性のある「利益」について説明するのではなく、発生する恐れのある「損失」を防ぐことを根拠にするといい。(180ページ)
「検査を定期的に受けよう。それにより早期発見、治療が可能」と言うよりも、
「検査を定期的に受けないと、早期発見できずに治療が不可能になる危険がある」と言うほうが、検査率が上がるとのこと。
起きている時間の90%は他者のことを考えている。
わたしたちは他人が気になって仕方ないのだ。
わたしたちは、起きている時間の90%は他者のことを考え、ほかのことを考えるために使っている時間は10%しかない。(201ページ)
専門家の予測はどれくらい信用できるか。
わたしたちの生活の中では、専門家の予測の嵐が吹き荒れている。これらの予測はどれくらい信用できるのだろうか?
(中略)カリフォルニア大学バークレー校の教授、フィリップ・テトロックは、合計284人の専門家の、8万2361の予測を、10年間にわたって調査した。
その結果、乱数発生装置で適当な数字を選んだときのように、ほとんどの予測は外れていた。
よりによってメディアにもっとも頻繁に登場する専門家たちに限って、予言者としては劣っていることが実証された。(218ページ)
人間の不幸は、部屋でじっとしていられないから起こるのだ。
わたしたちは、早く判断し、過剰に行動に移す傾向がある。
だから、状況がはっきりしないときには、何もしない、行動することで状況が好転すると判断できるまでは決して動かないことだ。自分の気持ちを抑えよう。
「人間の不幸は、部屋でじっとしていられないから起こるのだ」と、フランスの数学者、ブレーズ・パスカルは、自宅の書斎で書いている。(232ページ)
「ビギナーズラック」か「才能」か。見分けるヒント2つ。
1つは、「長期間にわたって、他の人より自分のほうが明らかに成績がいいのであれば、才能が一役買っている可能性がある」と見てもいいだろう。
(中略)もう1つは、「参加している人が多ければ多いほど、運だけで成功している人の割合が高くなる」ということだ。
(中略)自分のことを錯覚しないようにするためには、学者のような方法を用いるといい。自分に才能があるという推測が誤っていることを証明するのだ。(256ページ)
著者は、初めて書いた小説の出版が決まったとき、自分の才能が本物かどうかテストするために、大手の文芸出版社10社にその原稿を送ってみた。
すると10社すべてから断られた。
このことによって、「自分は天才」説の誤りが証明され、地に足をつけられた。
3ヶ月後には幸福感は消える。幸せが長く続くための3つのヒント。
宝くじ当選も豪邸も仕事の成功も、「3か月後」には幸福感が消えてしまうとのこと。
科学的に実証された「幸せが長く続く」ための3つのヒントが以下。
1. 長いこと試してみても慣れることのできないネガティブな現象、たとえば通勤、騒音、慢性的なストレスといったものを避ける。
2. 車、家、ボーナス、宝くじの賞金、金メダルといった物質的なものによる喜びの効果は、短期間しか期待できないことを知っておく。
3. ポジティブな効果を長続きさせるためには、できるだけ多くの自由な時間を手に入れ、自分の意思で行動しよう。たとえ収入が減ることになったとしても、もっとも情熱を感じられることに時間を割き、友情をはぐくもう。(279ページ)
「自分自身で影響を与えられること」だけに専念する。
「本当に自分自身で影響を与えられること」だけに専念しよう。
その中で「もっとも重要なこと」だけに集中しよう。
そのほかのことは、すべて放っておけばいい。(288ページ)
たとえば、ブログのアクセス数に一喜一憂せず、「週に◯本記事を投稿する」といった、自分で完全にコントロールできることのみに集中する、など。
【感想】
「Think clearly(シンク・クリアリー)」「Think Smart(シンク・スマート)」と、2作読んだし3作目はもういいかな、と思っていたのですが、手に取るとなんか読んじゃう1冊でした。
3作通して、「心理学を参考にした自己啓発まとめ」といった印象です。
今回の「Think right(シンク・ライト)」は、過去に刊行された本の復刻版で、これが真の1作目ということなのですが、読んでみると、その勢いというか、読みやすさというか、たしかに納得でした。
「達成の幸福感は3ヶ月で消える」、「選択肢を減らす」など、持ち物や思考を減らしてシンプル生活をしている今だからこそ、すごく心に刺さります。
そしてこのシリーズ、3作通してやたらウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーのエピソードが出てきます。私自身バフェット好きなので、それも印象的でした。