ビジネス書・自己啓発書「シンク・スマート」(ロルフ・ドベリ/著、安原実津/訳、サンマーク出版/刊)を読みました。
重要なのは「すべきでないこと」を排除して、「間違い」を減らすこと。
本書では、私たちが陥りがちな、思考や行動の間違い52個がまとめられています。
表紙をめくった見返し部分のアリストテレスの言葉が印象的です。
「賢人が目指すべきは、幸福を手に入れることではなく、不幸を避けることだ」
“令和元年に最も売れたビジネス書“となった前著「シンク・クリアリー」に続き、スイスのベストセラー作家による「シンク・〇〇」シリーズ2冊目の本書。
グッときた部分の読書メモと感想をまとめます。
- 「シンク・スマート」読書メモまとめ。
- 【感想】逆に仕事に活かせる「思考や行動の間違い」もありました。
- シリーズ第1弾「Think clearly(シンククリアリー)」の読書メモはこちら。
- シリーズ第3弾「Think right(シンクライト)」の読書メモはこちら。
- 同著者による「News Diet(ニュース・ダイエット)」の読書メモはこちら。
- 関連記事はこちら。
「シンク・スマート」読書メモまとめ。
比較すしぎると、いい決断ができなくなる。
比較、吟味、決断をすると「決断疲れ」を起こす。意志の力はバッテリーのようなもの。充電が必要。休憩やリラックス、食事をするといい。
ちなみに、数百件の裁判所の判決を対象にした調査結果によると、
裁判所で出される判決のうち、“大胆な”判決の出る割合は、時間が早いうちは65パーセントだが、時間の経過とともにゼロに近くなり、休憩をはさむと突然また65パーセントに戻るのだという。(37ページ)
途中で受ける印象にはあまり影響力がない。
意見があるときは、ためらわずに最初に口を開くといい。そうすればあなたは同僚に大きな影響を与え、彼らを自分の側に引き込むことができる。
そしてあなたが議長を務めているときには、特に順番を決めずに意見を聞こう。そうでなければ、毎回最初に意見を述べる人に必要以上の影響力を与えてしまうことになる。(55ページ)
「初頭効果」とは反対に、あとから入ってきた情報のほうが記憶に残りやすい現象を「親近効果」と呼ぶそう。
すぐになんらかの対処をしなくてはならないときは「初頭効果」のほうが強くなる。
(中略)一方、時間が経つと「親近効果」のほうが強くなる。
何週間か前に聞いたスピーチを思い返してみよう。特に記憶に残っているのは、結論や話のオチの部分ではないだろうか。(56ページ)
結論。何においても、途中で受ける印象にはあまり影響力がない。
優秀な人はさらに優秀な人を雇う。それ以外の人は自分より劣る人を雇う。
アップルで4年間、チーフ・エバンジェリストを務め、現在はオンラインデザイン作成ツール「キャンバ」のチーフ・エバンジェリストであるガイ・カワサキは、こんなことを言っている。
「Aクラスの人は、Aプラスの人を採用するものだ。つまり、自分よりももっと優秀な人を雇おうとする。
だがBクラスの人は、自分の部下としてCクラスの人を採用する。そのCクラスの人は自分の部下にDクラスの人を採用し、そのDクラスの人はまた自分の部下にEクラスの人を採用する。
そうすると結局、その会社は数年後にはZクラスの社員ばかりになってしまう」(80ページ)
自分よりも優秀な人を採用する例として語られている、アイザック・ニュートンのエピソードがかっこいいです。
25歳のアイザック・ニュートンが、自分が余暇を利用して行った研究を教授のアイザック・バローにすべて見せると(中略)、バローは自らの職を辞して、教え子であるニュートンを後任に指名した。
それも即座に、躊躇することなく。(80ページ)
相手が自分のものの見方に共感しなかった場合、自分が示す3つのパターン。
反応1:「相手が無知なのだと考える」
反応2:「相手は愚かなのだと考える」
反応3:「相手に悪意があると考える」
(中略)だから何かに対して強い確信を持っているときほど、自分の考えには批判的でいよう。(116、117ページ)
耳に痛い話なのでメモ。
「無知」を隠そうとすると、無駄な言葉が多くなる。
企業の業績が悪いときほど、CEOの無駄話は多くなる。行動における無駄話も同様で、過度に動きまわるようにもなる。
賞賛に値する例外は、ゼネラル・エレクトリック社のCEOだったジャック・ウェルチだ。彼はあるインタビューでこう話している。
「信じられないかもしれないが、単純明快でいるのはひどく難しい。普通は周りから単純なやつだと思われるのを恐れるが、本当は難解なやつだと思われることこそ心配すべきなんだ」
結論。「無駄話」をすれば無知を隠せる。ものの言い方が不明瞭なとき、話し手は自分の言っていることがわかっていないのだ。
言葉は、思考の鏡だ。思考が明瞭であれば発言も明瞭になるが、思考が不明瞭であれば発言は無駄話にしかならない。 (194ページ)
「エピソード」に感情移入しすぎない。
私たちの脳は「物語」に対して抵抗力がなく、「エピソード」にはつい耳を傾けてしまいがちだ。
身近な人の話を具体的にされると、熱心に聞いてしまい、単なる一例にもかかわらず、大きくとらえてしまう。
抜け目のない経営者ならば、キャリアを積む過程で「エピソード」に対してはアレルギー反応を起こすよう自己訓練をしていて、こうした発言はすぐに却下する。(203ページ)
最低限の情報で生活する。
最低限の情報で生活するよう心がけよう。そうすれば決断の質は上昇する。
知らなくてもいいことに価値はない。それを知ったところで無価値なものは無価値なままだ。(242ページ)
人生の決断に役立つニュースは年間で2件以下。
過去1年のあいだに、あなたは短いニュース記事を1万件は受け取っているはずだーー1日当たりに換算すると約30件。
正直に答えてほしい。そのなかで、あなたが人生やキャリアや仕事に関する決断を下すときに役に立ったのはどのくらいあっただろう?
私がこの質問をした人のなかで、ふたつ以上のニュースを挙げられた人はいなかった(246ページ)
物事は「多くの要因」が重なった結果として起こる。
原因はひとつではない。多くの要因が重なった結果として起きるのだ。
それなのに、私たちはいつも「たったひとつの原因」だけを突き止めようとしてしまう。 (267ページ)
【感想】逆に仕事に活かせる「思考や行動の間違い」もありました。
私たちが陥りがちな思考や行動の間違い52個がまとめられている「シンク・スマート」。
図星で耳に痛い「思考や行動の間違い」もたくさんあり、自分の考え方や言動について考え直すきっかけにもなるのですが。
なかには「人はエピソードに感情移入しがち」など、逆に仕事に活かせる「思考や行動の間違い」もありました。
シリーズ第1弾「Think clearly(シンククリアリー)」の読書メモはこちら。
シリーズ第3弾「Think right(シンクライト)」の読書メモはこちら。
同著者による「News Diet(ニュース・ダイエット)」の読書メモはこちら。
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